QEDシリーズ第一作。
薬剤師コンビによる歴史推理ミステリ小説。
百人一首に関わる謎を、現実の殺人事件と絡めて紐解いていく。
このQEDシリーズ全てに言えることだが、殺人事件などの刑事事件の方はおまけであるということを念頭に置いておくこと。
ミステリ要素含めて矛盾も多いし、動機なども毎回のテーマに無理に絡めていて共感しにくい。
これはシリーズが進む毎に顕著になっていて、一作目の今回のようにダイニングメッセージに使ったりするのはむしろよく考えられている方だと思う。
逆にそれぞれの巻のテーマとなる歴史考察は、一つの説として充分に面白い。
なのでミステリものとして読むとがっかりするが、考察作品として見るとこういった説もあるのだと感心する作品となっている。
今回のテーマは、百人一首。
百人一首が何の意図を持って作られたのかを、歴史考証しつつ追っている。
自分は古文が大嫌いだったが、こういった切口から古文を習っていれば好きになってかもしれないなあ。
唯一残念なのは百人一首をカードのように繋げていく様子が小説本文内でも実際に描かれているのだが、さすがにこれは無理があった。
昔も実際の小説で見た時に違和感だったが、今回電子書籍で読み直してみたらより読みにくかった。